学校史・学校記念誌の破損 被害が全国に拡大している驚愕の実態と現状をまとめてみました。東海や北陸地域などでおこっていた、「学校史」や「学校記念誌」の切り取りや破りなどの被害が、東京都にある日本図書館協会の調べで全国に拡大している可能性があることがわかりました。学校史や学校記念誌は図書館で簡単に閲覧ができ、全国の図書館では破損や破りなどの被害状況の確認や対応に追われています。
27都道府県のうち65の図書館で計356冊、2484ページもの被害が確認。被害はさらに拡大の恐れも
学校史・学校記念誌
毎年卒業する生徒のこれまでの「歩み」や「活動の写真」「思い出」またプライバシーなども載っている、学校史・学校記念誌(卒業アルバム)。これらは全国27都道府県、3621館ある各図書館で自由に閲覧できるようになっています。しかし現在では、全国で破りや切り取り等の破損被害が発生していることから各図書館では、被害を未然に防ぐために閲覧を希望する時には各図書館で発行している”貸し出しカード”と身分証明書の提示をお願いする等の対応がとられてきています。
驚くほどの全国各地の被害の実態
問題の発端は、岐阜市にある岐阜県立図書館で毎月最終の金曜日に定例で行われている蔵書整理がキッカケで事件は発覚します。2017年4月28日、図書館の職員が蔵書整理の作業中に、ある学校の記念誌(卒業アルバム)がふと目にとまり、確認したところ、記念誌(卒業アルバム)の途中のページが抜き取られ隙間が開いているのがんかり、、さらにページを進めていくと10ページ以上ものページが抜き取られているのがわかりました。このことを受け岐阜県は、岐阜県内にある、小学校・中学校・高校の学校史、記念誌(アルバム)など合計462冊を調査した結果、そのうち10冊で合計134ページが切り取られていることが発覚します。
被害に遭った図書館の職員の話では、保管されていた郷土資料のコーナーで、事件の1週間ほど前から本の並び順の乱れが目立っていたといい、また別の職員は、誰が何の目的でページを破って持ち出したのか全く見当が付かない、と話します。
記念誌(卒業アルバム)の問題の切り取られた部分は、カッターなどの刃物や手で切り取った形跡があり、修学旅行や学校生活などの様子や集合写真等、写真を中心にしたページが多かったとしています。
その後の調査で被害がさらに拡大していることとをうけ、東京都にある日本図書館協会はこの問題について、5月11日から全国都道府県立図書館を通じて、3621館ある全公立図書館を対象に被害状況の調査を書面で行いました。
その結果、全国27都道府県3621館ある全公立図書館のうち、65の図書館で合計2484ページ、356冊もの学校史・学校記念誌(卒業アルバム)に途中のページが抜き取られる等の被害が確認されています。しかし各市町村立図書館の集計が進んでいないところも多く被害の実態、破損件数は、実際よりももっと多いとみられています。
5月19日時点での各地の被害状況
被害のあった図書館
都道府県立図書館:18
市町村立図書館:47
県ごとで見る被害ページの多い順
1位:愛知県/10図書館/95冊/730ページ
2位:福井県/1図書館/93冊/786ページ
3位:岐阜県/2図書館/19冊/290ページ
4位:石川県/9図書館/29冊/289ページ
以下
山形県:24冊
富山県:18冊
被害が確認されてる地域(各県)
・北海道/
・青森県/1冊
・岩手県/2冊
・秋田県/1冊
・宮城県/2冊
・福島県/
・山形県/
・茨城県/現時点で発生なし
・群馬県/4冊
・栃木県/1冊
・千葉県/
・東京都/
・神奈川県/3冊
・埼玉県/
・山梨県/4冊
・静岡県/10冊
・新潟県/
・長野県/
・富山県/12冊
・石川県/29冊
・福井県/93冊
・愛知県/95冊
・岐阜県/19冊
・滋賀県/現時点で発生なし
・三重県/6冊
・奈良県/
・大阪府/現時点で発生なし
・兵庫県/
・岡山県/現時点で発生なし
・鳥取県/
・島根県/
・広島県/
・山口県/現時点で発生なし
・香川県/5冊
・徳島県/
・高知県/現時点で発生なし
・愛媛県/
・大分県/
・宮崎県/現時点で発生なし
・熊本県/
・鹿児島県/
・長崎県/
・佐賀県/1冊
・福岡県/3冊
・沖縄県/
※現時点で調査中である各市町村立図書館もあるため、発生冊数未記入もあります。
まとめ
今回の事件、いつ?どのような人たちが?どんな動機で?このようなことをしたのか、まだ全くわかっていない状況ですが、卒業の記念として発行されている『学校史・学校記念誌(卒業アルバム)』は一生に一度、個人個人の大切な思い出が詰まった大切なもの。普通は卒業の際に各個人に配布され持っているはずですが、何らかの事情でなくしてしまった人たちもいるはずです。そういう人たちにとっては図書館で見るのが唯一の手段となり、『みんなの財産』として図書館にある本や資料は大切であり、また守っていかなければならないと思わせる今回の事件。これ以上被害が広がらないことを願うはかりです。