イージス艦よりコンテナ船の方が頑丈?衝突でどう違うのか調べてみました。2017年6月17日午前2時半頃、静岡県南伊豆町の石廊崎から、およそ20キロ沖合でフィリピン船籍のコンテナ船とアメリカ海軍のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」が衝突し第3管区海上保安本部に支援要請が入りました。イージス駆逐艦は船体の右側を大きく損傷しており、一方コンテナ船は船首の左側に、何かにぶつかったりこすったりしたような痕が確認できるとしています。
短距離から中距離の弾道ミサイル迎撃を目的とする”SM-3ミサイル”を搭載するミサイル防衛対応型駆逐艦
アメリカ・駆逐艦
船名:フィッツジェラルド(ミサイル駆逐艦)
建造:1993年2月9日
就役 :1995年10月14日
全長 :153.9 m (505 ft)
全幅: 20.1 m (66 ft)
排水量: 満載: 8,362 トン
吃水 :9.4 m (31 ft)
最大速 :31ノット
航続距離 4,400 海里(20ノット時)
<機関: COGAG(ガスタービン)方式>
LM 2500-30ガスタービンエンジン (27,000shp) ×4基
可変ピッチプロペラ(5翔)×2軸
乗員: 337名( 士官、兵員)
<兵装・戦闘機関>
Mk.45 mod.2 5インチ単装砲 ×1基
Mk.38 25mm単装機関砲 ×2基
Mk.15 20mmCIWS×2基
M2 12.7mm機銃 ×4挺
Mk.41 mod.2 VLS ×90セル
<迎撃ミサイル等>
・スタンダードSM-2 SAM
・スタンダードSM-3 ABM
・ESSM 短SAM
・ VLA SUM
・トマホークSLCM
・ハープーンSSM 4連装発射筒×2基
・Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基
<艦載機>
艦載機 ヘリコプター甲板のみ, 格納庫なし
<各種レーダー・センダー装備>
C4ISTAR NTDS mod.5 (リンク 11/16)
AWS B/L 5 (Mk.99 GMFCS×3基)
AN/SQQ-89
センサ AN/SPY-1D 多機能レーダー×4面
AN/SPS-67 対水上レーダー×1基
AN/SQS-53C艦首装備ソナー
AN/SQR-19 曳航ソナー
電子戦 AN/SLQ-32(V)2 ESM装置
Mk.36 mod.12 デコイ発射装置
<モットー>
あなたやあなたの周りの人を守る!(Protect your People)
アメリカ海軍のミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」は弾道ミサイル迎撃システムの一部として世界的に展開するミサイル駆逐艦の一隻で2004年9月30日に横須賀に到着し任務にあたっています。
また2011年3月11日に発生した東日本大震災発生に際してはアメリカ第7艦隊に加わり被災地を救援するトモダチ作戦に参加、行方不明者の捜索と物資の輸送に携わりました。
2013年4月に北朝鮮が弾道ミサイル発射の姿勢を見せた際にも、朝鮮半島南西沖に出動警戒に当たり 現在でも、空母ジョージ・ワシントンを中核とする第5空母打撃群に属し、引き続き横須賀を母港とし任務にあたっています。
フィリピン国籍コンテナ船
船名: ACX CRYSTAL(ACX クリスタル)
建造: 2008
最大速 :18,5ノット
排水量: 満載: 39565 トン
総トン数 : 29060 トン
全長:222.6m
全幅:30.1m
水深:
オペレーター: NYK Container Line 株式会社
Type: フルコンテナ船
船籍: フィリピン
船級: 日本海事協会
まず衝突したアメリカのイージス艦「フィッツジェラルド」と、フィリピンのコンテナ船「ACX クリスタル」の船体との比較ですが、写真をみても一目瞭然、圧倒的にコンテナ船の方が大きいのは明らかです。
コンテナ船はイージス艦の、全長は約1,5倍・幅も約1,5倍・重量を示す総トン数では実に約5倍も違います。
詳しい現状は今後の調査により発表されると思いますが、イージス艦からすると突然レーダーにコンテナ船が現れ左舷側から突っ込んでくる形になりますが、イージス艦はかわそうと艦を移動しかし、かわし仕切れずかする形になった感じです。しかしそれでもイージス艦の方は航行はできているものの損傷は激しくまた船内の精密機械について言えば相当な被害額になっていると思われます。
航行速度を重要視するイージス艦のボディーはかなりの強度を持つアルミ合金ですが、反対に速度よりも積載重量とそれに伴う船体の強度に最も重点を置いているコンテナ船の鉄ボディー、そして船体の大きさ、重量も相当違う船同士が衝突した際の破壊力は圧倒的にコンテナ船の方が強かったようです。
本当に真横からあたっていたらいったいどうなっているのか?
これだけ大きさのある船がもし真横から衝突したら、衝突速度にもよりますがおそらく船体を真っ二つにぶち抜いていてもおかしくないと思われます。高性能レーダーシステムを備えているイージス艦がそんなことになる事はほぼないと思いますが、今回のようにもし現実起こったら大惨事になります。
まとめ
今回の衝突に関して、発射された弾道ミサイルを補則し迎撃できるほどのあれだけの高性能レーダーシステムを装備していながらなぜ?速度の遅いコンテナ船を探知できず衝突に至ってしまったのか?
現状がハッキリしていないのでまだなんとも言えませんが、海上衝突予防法的によれば”相手を右に見る側が回避しなければならない”ことからすると避ける義務があったのは双方の損傷箇所からいけば右側を損傷しているイージス艦のようにも見えるとのこと。今後の調査を見守りたいと思います。